終章      四  月夜の千歳桜

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 その人は今までに見たどの映像よりも、ひときわ鮮明で、輝いていた。  背の高い白い詰め襟姿。  手にはひとふりの刀を持っている。 (わたしが忘れていたのは、この人?)  彼が初音をふり返る。  いつもそこで目が覚めてしまう。 (ああ)  初音はため息をついた。  顔は見えなかったが、ふりむいた彼の表情には、悲しみがあふれているような気がした。
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