お返しボックス

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 私達、面白がっていろんなモノを突っ込んだんだよなあ。  入れたものは神様に貰われてなくなっちゃうから、入れるのはそこまで必要じゃないものに限られるよね。あと、どんなお返しが来るのかはわからない。大抵、関連した道具が入っていることが多いんだけど、同じモノを入れても毎回同じモノが返ってくるとは限らないんだよなあ。  例えば、消しゴムを入れておくじゃん?すると、返ってくるのは定規だったり鉛筆だったり、その時によってまちまちなわけ。  ちなみに、うちのクラスのおバカな奴が、三点のテスト用紙の答案を入れておいたところ……なんと、分厚い辞典になって返ってくる、なんてことがあったんだよ。その子はおバカだったけど、これで勉強するんだってはりきってた。やる気はあったけど、きっかけがなかっただけだったみたい。  大抵、入れたものより、ちょっといいものになって返ってくる。それが予想外だったり、時にはちょっといらないモノになって返ってくることもあったんだけどさ。  お返しボックスは、うちのクラスの名物みたいなものだった。神様、なんてものが本当にいるのかどうかはわからない。ひょっとしたら先生が、こっそり中身を取り替えてるだけなのかもしれない。それでもみんな面白がって使ってた。……あの事件が起きるまではね。  ほんと、いつの時代にもバカなことする奴ってのはいるもんだよなあ。  クラスで一番の悪ガキがさ。本当に神様ってのがいるのかどうか、その正体がなんなのか、確かめたくなっちゃったんだよね。で、最低の悪戯を思いついた。お返しボックスの中に、ありったけかき集めた画鋲をつっこんだのよ。 『この中に手を突っ込んだり開いたりしたら確実に怪我するからな!カミサマってのが生きた人間なのかどうか、俺が確かめてやるぜ!!』  まがりなりにも神様って呼ばれてる存在を傷つけようなんて、罰当たりにもほどがあるよね。  ……そ。当たったの、バチ。  翌朝、嬉々として悪ガキがボックスを開いた途端――凄い悲鳴が上がって、大騒ぎになったの。ホームルームの時間の前でさ、私はその時廊下で友達と雑談してたんだけど……もうその悲鳴が断続的にね、引き裂くというか、喚くというか、ずっとずっと響き続けてるわけよ。
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