くたばれチャンパンジー
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くたばれチャンパンジー

 東京某所。木枯らしの季節。  魚介系味噌豚骨醤油という謎のジャンルを打ち立てている場末のラーメン屋。ここの塩ラーメンは美味いと口コミサイトで有名だ。 昼を過ぎ、混雑が終わってまばらになった客を相手に、店員たちはまったりと仕事をしていた。引き戸がガララと音を立てて開かれる。来客だ。 一匹のゴリラが入口に立つ。ここの塩が本当に美味いのかどうか、ためしにやってきた。この店はカウンター席しかない古風な麺屋だ。なかなか渋い。  席に着いたゴリラに店員は申し訳なさそうに口を開く。 「すいません。食券からどうぞ……」  店員の指し示す方向に目をやると、券売機が玄関口に設置されていた。これは恥ずかしい。 ゴリラは照れ笑いを浮かべて『すまない』と仕草で伝え、食券を買った。
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