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いたのかチャンパンジー
東京某所。春一番が吹く日。
馬鹿まる出汁の濃厚煮干しラーメンを打ち出している場末のラーメン屋。カウンター十席のほかにテーブル席が二卓あり、ファミリー層には嬉しい店だ。洒落た間接照明が薄暗く店内を照らしている。
空が暗くなるころ、扉を開けて一匹の客が来店した。ゴリラだ。
学名で言うならゴリラ・ゴリラ・ゴリラだ。彼はこれをゴリラのなかの、そのまたゴリラのなかの、唯一無二のゴリラだと推測している。誇り高き学名なのだ。シルバーバックではないが、そういうことだ。
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