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しかし、そんな町にも、それなりに味わいはある。B級グルメが注目を集め、ディープ・スポットとして雑誌に紹介されることも増えた。町は大きく変わっていないのに、それっぽいキャッチフレーズを付けるだけで箔が付いたように映るのだから、広告のプロの腕には感嘆するばかりだ。
ただ、私自身、生まれ育った町を好きになったのは、大人になってからだ。社会に出て行動範囲が広がるにつれ、郷土愛のような感情が芽生えたのかもしれないし、もしかしたら、無意識のうちに広告のプロたちによる洗脳を受けたのかもしれないが、それはわからない。
経緯はどうであれ、今では人並みに地元愛を持つようになったのだが、幼少期は自分の町が好きではなかった。
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