I love Dogs.

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そんな狭苦しい路地には、犬を飼っている家も何軒かあった。家の前で友だちと鬼ごっこやかくれんぼをしていると、その反対の方からワンと鳴き声が聞こえる。 見てみると、大きな柴犬がこちらに悠然と向かってくる。しかも、二頭だ。リードが付いているものの、それを持つおばさんは犬たちに引っ張られているようにしか見えない。身体は棒のように細く、目はくぼみ、髪は後ろで一つくくり。犬に引っ張られるガイコツのようだ。 私たちに近づくと、ワンワンと鳴き声を大きくし、お犬様のお通りだと言わんばかりに道を開けさせる。リードを手にしたガイコツおばさんはと言うと、悪びれる様子もなく、平然としている。私は犬が嫌いだから、いつも遊びを中断した。そのたび、友だちから非難されることもあった。 「大丈夫。噛んだりしないから」
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