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いや、それはわかっているのだ。噛まれる道理なんてあるものか。この飼い主は、私たちが親といると愛想が良いくせに、子どもだけでいるときはまるで虫けらでも見るような目つきで視線を寄越していたから相当にいけ好かなかったが、犬を散歩させるときは必ずリードをしていたから、許してやった。
腹が立ったのは、我が家の斜め向かいに住んでいる中年の男だ。その男は、小型犬を飼っていた。誰にでも愛想がよく、ニコニコとしていたため、私たち子どもからも悪くは思われていなかった。
しかし、この小太り中年は、いつも小型犬を路地に野放しした。朝の早い時間帯を選ぶなど、小太りなりに一応配慮をしていたようだが、その時間帯に決して誰も現れない保証はない。
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