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そう、私だって朝早くに外に出ることもある。靴を履き、扉を開けて玄関に出ると、突然、その小型犬が息を切らしながら私の足元まで走ってきてキャンキャンと吠えた。驚くし、気持ちの良いものではない。思わず後ろにたじろぐと、その男は微笑みながら「噛まないから」と言いのけた。
違う、そうじゃない。だから、噛まないのは当然のことだ。噛まれたりでもしたら、すぐに警察を呼んでやる。この国は法治国家なのだ。飼い主に、それ相応の賠償を負っていただく。
そうではなく、そんな問題以前に、犬にまとわりつかれるだけで私は虫唾が走るのだ。噛まれないにしても、嘗められるだけでも不潔に感じる。年頃の女の子が、それこそ中年のおやじに嘗められたりでもしたら発狂すると思うが、私にとって犬に嘗められるのはそれと同じだ。
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