第1章

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 このご時世に、家にシラミが湧いて、彼と兄貴は坊主頭に、妹はかなり短い髪型になっていたことがある。  彼はウチの弟を含む数人と、悪さをして、補導されたことがある。その時に警察に迎えに来た父親に、他の保護者や警察の人が必死に止めるほどボコボコに殴られた。  彼は家庭に問題があるが、一般的にいう不良のようなタイプではなく、荒んだ空気を出している分けでもなく、むしろおとなしい性格だったため、問題児連中の中では、比較的軽い扱いを受けていたように見えた。  彼の家にはよく、児童福祉司が尋ねて来ていた。  その内に、彼は家に帰らなくなり友達の家を転々とするような少年になったが、どの家も、当然のことながら中学生の家出少年を長居させてはくれなかった。  ウチの親は、比較的にそういったことに寛容というか、放任主義を貫くため、彼が泊まりに来ても、前記した「炊飯器の米がなくなる」とボヤく意外、なにかを口うるさく言うことも無かったので、なかなか長い期間、ウチに泊まっていたが、その内に、学校では問題児扱いの弟の友達連中が溜まるようになると、教師やPTAから目をつけられるようになり、頻繁に先生や保護者がウチに見回りに来て、子ども達を家に帰すように注意するようになった。すると彼は気を使ってか、ウチに泊まることも無くなった。
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