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 点在していた住宅がなくなり、周辺が田や畑ばかりとなった。  舗装されていた道が、登坂の砂利道となる。  周辺に人影はない。俺の陽動作戦が功を奏して婦人会がいないのか、そもそもこの道は塚への道じゃないのか。 「今更、他の道を探す暇はないしな」  サドルから腰を浮かせて、いわゆる立ち漕ぎをする。  急に、記憶の底にある光景と似た道が、右手に現れた。  道の両側は、杉林となっている。 「ここか!」  ペダルは相変わらず重いが、気力は十分に残っていた。  突然、広い原っぱに出る。中央には、人の背丈ほどある大きな岩による塚があった。  間違いない。見つけた。 「なんだ、これ?」  よく見ると、塚の前には供え物の他に、何か色々と置かれている。  一旦、バットを足元の草むらに放ると、そのまま近づく。
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