第2章 羽になる

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「あった。」 私はそのアルバムを、手元に持って来た。 「この女の子達よ。夢の中に出て来たのは。」 驚く私に、愛斗君は写真の中の人物を指さした。 「これ、おばあちゃん。これが親父。そしてこれが……」 少し躊躇った愛斗君。 「……親父の前の奥さん。」 「えっ……」 おじさんの前の奥さん? そんな話、聞いた事がない。 「この写真を見ると、双子の女の子達は、前の奥さんとの子供だったみたいだね。名前も書いてある一人はこより。もう一人はさより。」 途端に、双子の女の子達がリアルに感じた。 「あれ?お兄ちゃん、お客さん?」 誰かに話しかけられ、振り向いた。 「なんだ。姫乃か。こいつ、俺の妹。」 「はじめまして。」 一応挨拶をする。 「何を見てるの?」 「ああ、これだよ。」 愛斗君は躊躇いもなく、姫乃ちゃんに写真を見せた。 「ああ、この双子。おばあちゃんが言っていた。”羽になった”って。」 「羽?」 私と愛斗君は、顔を見合わせた。
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