第3章 子返し

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愛斗君は、首を横に振った。 「俺のお母さんは、後妻だから知らないかもしれない。もし仮に知っていたとしても、前妻の子供なんて、いい顔しないだろう。」 「そっか。」 愛斗君の考えの深さに、私は驚きながら、彼の家を後にした。 そして私達は、元来た道をその通りに戻って、また電車に乗り私の住む街に帰って来た。 「何も今日じゃなくても、いいんじゃない?」 「こう言う事は、早くはっきりさせた方がいいんだ。それに……」 「それに?」 「……文香を家まで、送り届けたかったし。」 その瞬間、頭の後ろがくすぐったくなった。 「ありがとう。」 「ううん。」 私は、ちらっと愛斗君を見た。 精悍な顔つきをしていて、背も私より高い。 初恋が急に、戻って来た気がした。
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