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愛斗君は、首を横に振った。
「俺のお母さんは、後妻だから知らないかもしれない。もし仮に知っていたとしても、前妻の子供なんて、いい顔しないだろう。」
「そっか。」
愛斗君の考えの深さに、私は驚きながら、彼の家を後にした。
そして私達は、元来た道をその通りに戻って、また電車に乗り私の住む街に帰って来た。
「何も今日じゃなくても、いいんじゃない?」
「こう言う事は、早くはっきりさせた方がいいんだ。それに……」
「それに?」
「……文香を家まで、送り届けたかったし。」
その瞬間、頭の後ろがくすぐったくなった。
「ありがとう。」
「ううん。」
私は、ちらっと愛斗君を見た。
精悍な顔つきをしていて、背も私より高い。
初恋が急に、戻って来た気がした。
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