第3章 子返し

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「子返しって言ってね。双子が生まれたら、神様が間違って、余計にこの世に送り込んでしまった子供。だから、後に生まれた子供は、神様に返すのだと。」 「えっ……」 背中が凍り付いた。 「もしかして、殺すの?」 「いいえ、直接的にはしないわ。ただ、放っておいて餓死させるのよ。」 私は口を開けて、その恐怖に耐えていた。 「ただね。この姉妹は違っていた。兄さんが、愛斗君のお父さんが、まやかしだと言ってね。こよりちゃんを2階の一番奥に閉じ込めて、生かしておいたの。」 「もしかして、大きな階段を昇った、一番奥の部屋?」 「そうよ。そして時々、みんなと食事したり写真に写ったり。閉じ込めておいた割には、普通に育ってね。」 私はどこかで、ほっとした。 「ただ、お母さんが亡くなって、直ぐに今の奥さんと再婚した頃、急にさよりちゃんが、亡くなってしまったの。」
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