第3章 子返し

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「さよりちゃん?」 「普通に育てられた方よ。」 私は、ふと写真を見た。 もしかしたら、この写真を撮った後に、亡くなったかもしれないんだ。 「続いて、奥の部屋で閉じ込めて育てた、こよりちゃんも亡くなってね。」 「えっ……」 二人共立て続けに? 呆気ない幕引きに、涙が出てこなかった。 「代々そう言う風に育てられてきた双子の妹が亡くなった時に、”羽になる”って言う表現をするんだけど。おばあちゃんは、こよりちゃんが、”やっと羽になった”と言って、安心していたのは、辛かったけどね。」 「羽になる……そう言う意味だったんだ。」 運命に翻弄された、双子の姉妹。 夢に出てくる双子の姉妹に、『遊ぼう。』と言った私は、彼女達の数奇な運命を、感じていたのかしら。 「このくらいの時に亡くなったんだ。」 お母さんは、首を傾げた。 「いいえ。亡くなったのは、もっと大きくなってからよ。14、5歳ぐらいかしら。」 私の手が震えた。 「じゃあ、なぜ私の前には、少女の姿で出てくるの?」 はらはらと、私の手から、写真が離れて行った。
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