第4章 手毬

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「うん。」 三人で頷いて、私達は奥の階段を目指した。 「母さんはいないな。」 「うん。裏庭にいる。」 邪魔が入らないようにか、おばさんを気にかけていた。 そして、目の前に広がった、大きな黒光りする階段。 今日はやけに、艶があるように見える。 「行こう。」 「うん。」 私と愛斗君と姫乃ちゃんは、一段一段、階段を昇り始めた。 おばさんは、階段が腐っていたらって言ってたけど、そんな事はない。 まだ固くて、軋む音もしない。 そして、階段の上に昇り切った時だ。 暗い廊下に、ぽぉっと明かりが灯った。 まるで、廊下の隅に灯篭が置いてあるかのように。 「なんだか、江戸時代にタイムスリップしたみたいだ。」 愛斗君は、辺りを見回し、不思議な世界にのめり込んでいた。
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