第4章 手毬

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けれど、愛斗君は一歩前に出た。 「初めまして、お姉さん。僕はあなた達の弟です。そしてこっちが、妹の姫乃です。」 愛斗君は姫乃ちゃんの腕を、引っ張って双子の姉妹に見せた。 双子の姉妹のこよりちゃんとさよりちゃんが、顔を見合わせる。 『弟と妹?』 あまりピンとこないらしい。 でも、懐かしくて泣いている私を見て、双子の姉妹は、大きな目をして、立ち上がった。 『いつも、一緒に遊ぼうって言う子だ。』 『本当だね。』 夢の中で、一緒に遊ぼうって、言った事。 覚えてくれていたんだ。 嬉しくて嬉しくて、私はまた泣いた。 『ようやく、会えたね。』 『また会えたね。』 また? 私は不思議に思って、こよりちゃんが持っている手毬を見た。 ああ、全てが納得いった。
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