第4章 手毬

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そして、双子の姉妹は、クスクス笑いながら、スーッと消えて行った。 「……何だったんだろう。」 愛斗君は、またうーんと唸った。 「文香ちゃんを見て、また会えたねって、言ってたね。」 姫乃ちゃんは、茫然としていた。 「私は分かる。」 「えっ!?」 兄弟二人で、驚いていた。 「私、小さい時。ここで暮らしていた事、あったよね。」 「あっ……」 愛斗君が、手を叩いた。 「あった、あった。と言っても、1年くらいだけど。」 「その時に私、あの双子の姉妹に、会ってた。」 「まさか!」 そう、その時にはもう双子の姉妹は、この世にいなかったけれど、この部屋に残っている双子の思念は消せるものじゃなかったんだ。 「どうして、分かったの?」 私は、部屋にある手毬を指さした。 「あの手毬で、あの二人と、いつも遊んでいたから。」 ー END -
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