第2章 羽になる

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「今日はどうしたの?急に。」 にこにこしているけれど、私達の仲を疑っているようだ。 「街でばったり愛斗君に会いまして。昔の話を懐かしく話していらら、愛斗君から久しぶりにウチに来たらと、誘われまして。」 「あらあら。」 おばさんは、ちらっと愛斗君を見た。 「どうして隣町に行ってたのかしら。」 「参考書を買いにだよ。それだけ。」 愛斗君は靴を脱ぐと、私に”入って”と言った。 おばさんに挨拶しながら、私も廊下に上がると、愛斗君が奥を指さした。 うんと頷き、愛斗君の後を追う。 「この奥なんだ。」 「へえ。」 そして見えてきた階段。 何もかも、夢の中に出てきた階段と一緒だった。 黒光りしていて、幅もある。 一瞬、息が止まってずっとこの階段を、見ていてしまった。
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