親友までの疾走

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 それが嬉しかった。 そうしてくれることで私の中の嫌な部分ごととけていくような気にすらなれた。 「ねえ…窓、開けてもいい?」  ひとしきり泣きじゃくって、落ち着いた頃を見計らって祥子がそう言った。 「え?う、うん…」  『よいしょっと』と言いながらベッドに上がりカーテンを轢いて祥子が窓を開けた。  窓が開いた瞬間、一陣の風が私の頬を撫でる。  涙の後がヒヤリとした後に乾いていくのを感じた。 「あはっ、やっぱり外の匂いって良いね」  振り替えた祥子の本当の笑顔を見て私は子供のようにまた泣いた。   「足、痛くない?」 「うん、大丈夫…久しぶりに外に出た」 「あはは、あまり出ないと太っちゃうよ」  左肩を支えられながら祥子の言葉に本当の言葉で返した。 遠慮の無い言葉がまた私を嬉しくしてくれる。  あの後、また少し話した後、祥子を誘って私は近くの公園へと向かった。  怪我をしてからはなるべく出ないようにしていたけれど、祥子が言ったようにやっぱり外の匂いは良い。  少し前まではよくここで練習を兼ねて二人で一緒に走った公園は当たり前だけれど昔と全く同じで、それが私の心を落ち着かせてくれた。 「ねえ、大丈夫だから…あそこのペンチのところまで一人で行ってくれる?」 「うん、わかったよ」     
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