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辞令が交付された。PC画面に表示されたのは、免:宮崎支店、任:広島支店の文字。
「よかったな。栄転じゃないか。」
同期が肩を叩く。
社内で広島支店は、基幹店とよばれている。文字通り、売上や立地の面で主要な、中心的な支店という意味だ。全国に50以上ある支店のうち、基幹店とよばれるのはたった6つしかない。
「いや、違うだろ。」
苦笑いする。
基幹店の人事は特殊だ。部長クラスが支店長を務める他の支店とは違い、基幹店は役員が支店長を兼務する。それは即ち、役員の鶴の一声で今後の会社員としての人生が大きく左右されるということだ。
「お前なー。もう林のことは忘れろ。嫁さん妊娠してるんだろ?」
「ん。ああ、そうだな。」
私に首輪をつけ、おとなしくさせたい。今回の人事における会社の意図は明白だった。
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