ダッシュ

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俺がダッシュに背を向けて少し歩いたところで、背後から犬の吠える声が聞こえた。 振り返ると、ダッシュが女子小学生に向かって吠えている。 「なんだ、元気じゃねーか」 小学生は怯えた顔で道路の端を小走りで駆けて行った。 小学生が見えなくなるとダッシュは吠えるのをやめて、再び寝始めた。 もしかしたらダッシュは子供が嫌いなのかもしれない。 俺が大人になったから興味なくしたのかな。 そんなことを思いながら俺は家に帰った。 平日のお昼ということもあり、家族は誰も帰っていない。リビングの大きいテレビでゲームができるな。 昼飯に買い置きのカップ麺を食べようと電気ケトルでお湯を沸かしていると、ベランダの方から犬の声が聞こえた。 犬? 急いでベランダを開けると、そこにはダッシュがいた。 首輪に長い鎖をぶらさげて、土で汚れた顔で俺を見上げている。 「お前、脱走してきたのか」 ダッシュが「ワン」と短く吠える。YESってことだろう。
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