雨上がりには未来を書こう

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雨上がりには未来を書こう

放課後の高校の軒先。 同じクラスの吉野圭太君は空を見上げてぼんやりと立ちつくしていた。 天気予報は晴れだったはずなのに突然空が薄黒い雲に覆われ、急なにわか雨がシャワーのように降っていたからだ。 どうしよう・・・。 私はカバンの中から、愛用している手帳を取り出して今日のページを開くと、『吉野くんに話しかける』と、書いてある。 私の字ではなく、友達の由美ちゃんの字だ。 「晴歌(はるか)、だまって見てても恋は進まないよ!勇気をもって一歩踏み出さなきゃ!」 由美ちゃんはそう言って私の手帳に書き込んだのだ。 でも、結局話せなかった。 落ち込んで帰ろうとした時に、吉野くんが目の前にいるのだ。 これが、今日最後のチャンス。 私はぐっとこぶしを握り締め、思い切って吉野君にずんずんと向かっていった。 「よ、よ、吉野くん!」 緊張で声が途中で裏返ってしまった。 「あ、野々原さん」 彼は裏返った声を馬鹿にすることなく穏やかな微笑みを向けてくれた。 「吉野くん、か、傘もってないの?」 「あ、うん。予報、晴れだったから・・・」 「そ、そっか」 「うん」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 「「あのっ」」 ちょうど話だそうとするタイミングが重なってしまった。     
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