サラとフランカ

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サラとフランカの関係は他人だった。 フランカは26歳の時に4つ上の旦那と結婚した。 旦那と死に別れたのがその5年後だった。 子供もいなかったフランカはそれから1人で暮らしていた。 サラとサラの母が家の隣に引っ越してきたのはフランカが45歳の時だった。 人懐っこいサラはすぐにフランカに親のように甘えた。 フランカもサラを自分の娘のように感じた。 気づけばフランカとサラと母親は家族同然のように暮らしていた。 だが2年後、サラが小等部に入学してから間もないある日の夜、サラの母親は突然フランカの家に訪れると、 「どうか娘をよろしくお願いします。」 そう言い(いく)ばくかのお金を無理やり持たせると、制止もきかずどこかへ行ってしまい、二度と帰ってこなかった。 それからはフランカが母親の代わりを務めた。 家は別々だったが、2人は慎ましくも共に暮らしていた。 台風による災害が起こったのはさらにその2年後だった。 2人の家のみならずほとんどの家が濁流に飲まれ無残な残骸を残していた。 町を出ていく人も多くフランカも引っ越しを考えたが、母親を待つサラを1人にすること も出来ず、2人は町の丘の上に住居を構えた。 2人の生活は再スタートした。 フランカはサラに炊事洗濯家事、世渡り方法、豆知識、町長が今狙ってる女、3件隣の家で飼ってるロバの名前、あることないこと、様々なことを教え叩き込んだ。 時には喧嘩をし、時には励まし合い、支え合ってきたのだった。 それから7年後、サラ15歳、今に至る。
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