船の上で

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サラはレスレクシオンを訪れるのは初めてだ。 本来入学試験は本校で行われるのだが、サラに関しては遠路ということで特別に便宜(べんぎ)を図ってもらい、アリアドス国の首都、フォルスベリで行われた。 その時試験管に聞いたのだが、合格すればレスレクシオン出身以外の人間がスレイヤーの学校に初めて入学することになるのだそうだ。 一ヶ月後に合格通知が届いた。 サラが狂喜乱舞(きょうきらんぶ)したことは言うまでもない。 だがレスレクシオン国以外の初の生徒、サラにとってはそれは不安の種の一つだった。 レスレクシオンの国民、アンノブルは民族意識が強く、排他的という噂も聞く。 (レスレクシオンの女性のみを指すときはスレイヤー、男性を含めるとアンノブルと呼ぶ) いわばバイソンの群れに羊を一匹放り込むようなものだ。 「う~んでも考え込んでも仕方ないからな~」 顎に手を付けいっちょ前に悩む姿勢をみせる。 「将を射んとするならまずは馬からだしね」←? サラは良くも悪くも楽観的な性格をしていた。 船を走らせること一刻、目的地の向こうに陸が見えたのが先か、それが見えたのが先か。 「うわ~~~~~!あれが千年樹!ここから見えるってことは相当でっかいぞ~~~~!」 船が進むに連れ、だんだんとその雄大にそびえ立つ巨大な樹木は姿を現した。 スレイヤー達にブリサを供給する大木、千年樹。 (ブリサとはいわゆるマナとかそういう類のものね) 「あれがスレイヤー達の住む島、レスレクシオン・・・!」 不安はあったが、それ以上にわくわくが止まらなかった。 テンション爆上げなのだった。
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