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はぁはぁと肩を上下にしていると、キキーッと車のブレーキ音が聞こえた。
振り返ると黒塗りの高級そうな車が止まっている。
運転席から初老の執事の格好をした男が出てくると、後ろの席のドアを開けた。
「お嬢様、湖前に到着いたしました。」
「ええ、ごくろうですわ。」
ローブをまとった少女が車から降りてくる。
うわー綺麗な人だなぁ、とサラは思った。
ソバージュがかった長い綺麗な金髪をしたその少女は、非常に目鼻立ちも整っており、同じ女であるサラでさえ見惚れてしまうほどだった。
「まったく、お姉様のお呼び出しのせいですっかり遅くなってしまいましたわ。」
「申し訳ございません。」
「ヒューズが謝ることではありませんわ。」
ヒューズと呼ばれた執事は軽く頭を下げる。
「では行ってきますわ。」
「行ってらっしゃいませ。」
執事は胸に手を当て今度は大きく頭を下げる。
少女は手に棒を持っている。
彼女もスレイヤーだということが伺える。
サラに気づき、チラリと見るがすぐに視線を湖の方へ戻す。
少女が棒に横乗りになり空に浮かびだそうとした瞬間だった。
「・・・なんですの?」
サラの方を向き言う。
サラは少女の棒の後ろを掴んでいた。
「ベルナール高校に行くんだよね?お願い!乗せていってくれない?」
「はぁ?」
「私まだ飛べないんだ・・・だから・・・」
「あなたもしかして」
サラの顔をまじまじと見つめながら問う。
「今年入学すると噂のオルディですの?」
「う・・・多分そう・・・」
この人も私を嘲笑するのだろうか。
サラは身構えた。
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