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「ふぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
サラは奇妙な掛け声と共にドタバタと階段をかけ下る。
「はっ!」
残り5段のとこで勢いよくジャンプする。
ドン!という大きな音が家中に響いた。
するとその音に負けないくらい大きく
「こらー!」
という声がまた家中に響く。
「サラ!またあんたは!出発の日くらい慎ましく出来んのかね!」
台所からのフランカの声だった。
「最後の日でもイメトレは大事なの!ってこの匂いは・・・もしかしてサムサ!?」
サムサとはラム肉を使ったミートパイ、サラの大好物だ。
「なぁにがイメトレだい。イメージじゃなくて現実を見な!たく、とっととこれ食って行っておいで!」
「うへへ~フランカさん分かってるぅ~」
サラが席につくとフランカはふくよかな手で器用にサムサを取り分ける。
サラはミルクを流しこみながらもくもくと口に入れていく。
「ごっそさ~ん」
あっという間に食べ終わると、玄関のそばに置いておいた中身をギュウギュウに詰め込んだリュックを背負いそのまま外に出た。
大荷物のトランクケースの方はすでに事前に寄宿舎のほうに郵送している。
リュックの中は2日分の着替えとお金とパスポートとその他小物類だ。
「それじゃあフランカさん、行ってくるね」
「あぁ、行っておいで」
フランカもそう言いながら見送りに外に出る
ふんすふんすと鼻息を荒げながらサラは小さな丘の上にある家を下っていく。
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