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時間は遡って
10年前、同じ大学に通っていたけど、その時はお互い全く知らない同志。
それが、偶然同じ会社に就職。同じ大学だったってこともあり入社式の時から妙に気が合った。
研修期間が終わり、配属先は異なったけど同じ本社内。私たちはまもなく付き合いだした。
そして、それなりの思い出を作りながら世間でよく言う3年目。
私の気持ちは変わらず重たいほどに彼一筋。でも、彼にとっての私は・・・。
きっと、気心の知れた居心地の良い楽な存在で、恋愛とは違った馴れ合いみたいな存在になってしまったのだろうって思っていた。
気持ちの大きさのずれは、不信感となってしまう。
その頃には、遊びに出かけることも、電話もメールの数もかなり減っていて、私には彼の行動が怪しく感じられるようになってしまっていた。
そんな中、私にとっての挽回のチャンスを作ることに成功。
待ち合わせは15時。港が僅かに見える高台のカフェ。
彼と初めてのデートの場所。
日程の確保は念のため2週間前から。当日直前に待ち合わせ場所をそこに指定すると、場所が遠いと彼にぶつくさ言われ、ちょっとムッとする私。
その日は初めてデートをした記念日なのに。彼は忘れているのだと思わざるを得ない。
それでも、何とかその場所で約束を取り付け、私は待ち合わせ時間の15分前には、現地に到着。
初めてのデートの日と同じ場所が空いていたことに幸運を感じながら、あの時と同じアイスココアをオーダー。
下ろし立ての洋服に、髪は午前中に美容院でセット、化粧だっていつもより念入りに。低く見積もってもいつもより2割はアップしている私に、きっと彼は驚いてくれるはず。
この状況で、今日の日が何の日か気づいてくれるだろうか?
なんてウキウキする反面、何故か一抹の不安も頭の隅を過る。
もしかしたら、ドタキャンされるかもとか・・・。
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