時間は遡って

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 彼が来る前に今一度この後のスケジュールの復習とばかりに、頭の中で順を追うも、殆ど時間を費やすことも無く直ぐに終わってしまう。  3年前と同じ行動など、昨日の夕食のメニューよりも、よく覚えている。  待つ時間の15分は意外と長い。  暇つぶしに僅かに見える港の方を眺てみると、偶々港を行く大型船の姿が見える。  私の中で、時間を潰すためのある名案が浮かぶ。  「よし、あの船が15分後に進む距離を予測して、その場所に辿り着くのを、精一杯応援しよう!」と。  普段だったら、じりじりと進む船をもどかしく感じるのだろうけど、今日は久々に天気も良く、海に浮かぶ船が太陽光を反射してきれいに見える。  私は、ちょっと楽し気な気持ちで船の進行の応援を始めた。  でも、そもそもこれが間違いの始まりだったかもしれない。  やがて、船はその場所に。  時計を確認する。15時2分前。  時間厳守の彼ならもう来ても良いはず。  注文したアイスココアを一口飲み干し。ため息を吐く。  約束の時間の15時を迎える。  カフェのお客さんは私を含め6人。  彼の姿がないことは一目でわかる状況。私が気づかない内に彼が来ていることはあり得ない。
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