時間は遡って

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 16:00頃 待っても待っても彼は来ない。  ココアを飲み干してしまった後は、グラスに自分の熱が伝わることを恐れて、決してグラスには触れるないようにして、ジッと見守る。  それでも氷は解けて行き、室温の高さを恨んでみる。  不安で押しつぶされそう。でも、彼は多分約束は守るはず。今まで守らなかったことは一度もないし。  16:30頃 店員さんがグラスを持って行きそうになり焦る。グラスに触れさせないように、強い気持ちで何とか両手で守りぬく!  勝ち誇った気持ちが空しい。本当に彼は来るのだろうか?  16:45頃 薄い氷が解けた水に浮かんでいる。  覚悟ってなんだろう?そんなことを思い始める。  16:55 待ち合わせ時間から後5分で2時間が経つ。この席に座って2時間と10分と言うところで、ついに氷の影が消えてしまう。  上から見ても、グラスを透して見ても、ひいき目に見ても個体は見当たらない。  生まれて初めて絶望ってどういう事か分かった気がする。  私は何かに誘導されるように、携帯の電源を切って、意地だけを支えに席を立った。  未練を残しながら。  後ろ髪を惹かれながら。  もっとここに居たい。  待っていたい。  本心だけをそこに置き残して。  その後、私は彼の電話番号もアドレスも全て消して着信拒否に設定。  なんで、そんな決め事を取り消さなかったのか?今となっては意味不明。  そういう運命だったとしか言いようがない。  人は運命の魔法から逃れられはしないのかも。なんて思ったりもする。
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