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(ていうか、儚乃の『願い』って、何なんだ?)
「化け物? ゾンビィ? 私が……」
当の儚乃は、戸惑いつつ僕の手を思い切り握ってきた。
僕はぬるっとしたその手を倍の力で握り返し、走り出そうとした。
「どこへ、行くの?」
「とりあえず、オレの家で隠れよう。オレの母さんなら、この信じられない状況でも、受け入れてくれるからさ」
「待って。私のお母さんに電話……」
「お前のお母さん、あの中だ。今のその顔見たら、失神するから止めとけ!」
僕と儚乃が手を握り合って雨の中で立ち尽くしていると、「死神」がイラついたように吐き捨てた。
「つー訳だ。じゃ、オレは行くからな。お前の『願い』の代償、確かに受け取ったからな! まあ、せいぜい頑張れや!」
「死神」はそう言うと、目の前からすうーっと煙の様に蒸発した。
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