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目を開けると真っ白な天井がそこにあった。日の光が目に眩しい。
「ここ、どこだ……?」
呟いた長谷川が首を動かそうとすると鋭い痛みが走る。
しばらくすると看護師が長谷川の元へやってくる。そして、状況を説明してくれた。
どうやら酔っぱらってふらふら歩いていた長谷川にバイクがぶつかったらしい。
幸い軽症で済んだ、とのことらしかった。
一通り説明を受け、一人になった長谷川はスマホに手を伸ばす。
開いた画面では「ネットニュース『女性社員、過労死!』」という文字がでかでかと踊っていた。
その写真、その名前は、間違いなく昨夜終電で居合わせた佐伯という女だった。
「佐伯先輩……」
長谷川はぽつりと呟いた。あの電車は何だったのか、どこへ向かう電車だったのか、佐伯が言った言葉の意味とは。
ようやくそれを理解した彼は、手の甲で目をこすったのだった。
fin
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