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「という、男女の恋愛の話。」
話終えた女性は、にやりと笑ってアイスコーヒーを飲んだ。
真剣に聞いていたであろう向かいの友人も、話が終わるとほっとため息をつき、オーダーした紅茶に口をつける。
「うっわ、なんかリアルー。」
「でしょ?」
「うんうん、本当にありそうだよ。え、本当に作り話?何か小説のネタになりそうな恋愛話求めはしたけど…。」
「勿論作り話に決まってるじゃん!てか、リアルなら誰の実話よ、怖すぎー。」
「えー、うーんそうだけど……もしかして、紗知の体験談?」
「私は恋愛に興味、あっりませーん!」
「ですよねー。知ってた。」
紗知と呼ばれた女は、にやにやしながらアイスコーヒーを飲み干す。
暫く黙っていた友人が、あっと声を上げた。
「じゃあ、二人はどうなったの?」
「ええ?この話はこれで終わりだって。続編は麻友が好きに書けばいいから。」
「えーまぁ、そうだけど。じゃあ、参考にさ。紗知なら二人はどうなると思う?」
紗知はうーんと、店の天井を見つめて考えた。
「……あんま、興味無いから思い付かないや。」
「いや、この話作ったのあんたでしょ!あんたなりのエンディングがあるんじゃないの?」
「別に……幸せにはなれないと思う。それしかないじゃん。」
「そうかな……男はいいとしてその、女の人はその後どうしたのかな?」
「さぁね。別れるんじゃない。あ、でも指輪は質屋に売るために貰うでしょ。」
「あんた、本当にゲスいわ。ま、私もするかもね。その立場なら。」
二人はその後も何気ない会話をし、数時間を過ごした。
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