溶ける、気持ち

6/6
前へ
/6ページ
次へ
麻友と別れた後、紗知は帰路に着いた。 「……売ったら、いくらするのかな。」 紗知は首にかかったチェーンを摘まんで、引っ張った。 そこには、銀色の指輪が通されている。 小さな白い宝石がついているあたり、安くはないはず。 質屋に持っていったらわかるのだが。 紗知にその気は全くなかった。 「………入浴剤、まだあったかな。」 「紗知。」 後ろから声をかけられる。 聞き覚えのある、ぶっきらぼうな声。 ぱっと振り向いた紗知の顔は、驚愕の色とそして満面の笑みを浮かべていた。 また何かが溶ける音がした。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加