0人が本棚に入れています
本棚に追加
勝手に信じたくせに、裏切られたと罵倒される。
私は私だ。
それ以上でも以下でもない。
こんなありふれた言葉に、私は絡めとられた。
なんの責任も取らない人間達から押し付けられた無遠慮な期待や希望に、両手が塞がった。それらがあまりにも重たくて、立っていられなくて膝を突いた。
多分、その時に初めて泣いた。
私が持っていた沢山の期待や希望が、自分の価値だと思っていたから。
私と同じかそれ以上の荷物を抱えた人がまだ立っていて、どうしようもなく自分が情けなくて。
だから、私は私と言う存在を消すことにした。
他人の期待や希望に押し潰されないために。
私以外の人間を見て、傷付かないように。
人は他人の辛さや苦しみを理解しない。
どれ程の傷を負おうが関係無い。
だって所詮は他人事なのだから。
すぐには無理だ。
だから、ゆっくりと消える事にした。
他人から期待されない為に、もう荷物を増やさない為に、私は私を隠した。
少しずつ少しずつ、目立たないように手元の期待や希望を手放していった。
すると次第に、私は他人の目には映らなくなる。
誰も私を見ようとしないから、私は見える場所には居ないから。
まるで、透明人間にでもなったかのようだった。
最初のコメントを投稿しよう!