第一章 女装上司と内緒の×××  第一話

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第一章 女装上司と内緒の×××  第一話

九月のある日、仕事帰りに親友たちとカラオケに行った。 久しぶりに騒いで、アルコールも入っていた。 ちょっとトイレ。 花畑、行って来い、行ってこい。 何度も来ているカラオケ店は、トイレなんか間違えるはずもなくて、男性用は洋式に、男性用のトイレは一つしかないはずで。女性は洋式が二つに和式が一つ、大きめの洗面所は、二人並んでも十分なほど、だから、中に入って、ピンク色の内装に、鏡でお化粧を直している人の横を通ってトイレへ入って、用を足した。 暖かい便座にほっとして。 立ち上がり、下着をつけて、流して出た。 まだいる女性、手を洗わせてください。すっと場所を開けてくれたので手を洗い、用意していたハンカチで手を拭いた。 すごい念入りに化粧をしている人、綺麗なのに、そんなに盛らなくても、そう思っていたら目が鏡の中であっちゃった。 にっこり微笑む人は、口紅を塗ろうとしていた。 シャネル。 「もったいないなー、綺麗なのに」 また目が合った。 その笑顔にドキッとした。 可愛い。 にっこりと微笑む顔は負けた、おんなじ女なのに何が違うんだろう、小さな顔に整ったパーツかわいいと思った。 ごめんなさい、とそこを後にした。 デカいからだ、大嫌い。 女子の中で頭一つ分出ていて、それだけ、ほかはまるでドラム缶。 化粧をしたらおてもやん、どうせ不器用よ! 親友たちは、この年になっても誘ってくれる。 三十一、もう落ちつかなきゃいけないのに、みんなそれぞれだけど、まだ結婚してない、恋人はいるのに踏み込めないのかななんて。 お会計をして外に出た。 またね。 明日はご飯! それじゃあ明日。 月にして五、六回多い時は週に二、三回はこうしてあってるのがいけないんだろうか、それでもな。 電車に乗り込み、駅四つ目で降りる。下町と呼ばれるここには多くの中小企業がまだがんばっている場所だ。 私が来てからそんな様変わりしているとは思えないものの、段々と工場はなくなり、年老いた人の空き家は取り壊され、そこを待ってましたと大きなマンションが立ち並んでいく。 そんなマンションを買った私も何かを待っていたのだろうか? 今は結構ローンも組みやすくなった。 安定した職場には感謝する。
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