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「段ボール多いね」
「全部服だよ」
「こんなに?」
そこに積まれたのは、大小さまざまな段ボール箱が二十個以上積み重なっている。
「サイズの合ってないのとか、もう着れないのもあるんだけど、あの店でひきとってくれるからさ」
「ふーん、それより売っちゃおうよ、別に、恩着せることもないでしょ」
「まあな」
「私のものも片づける、部屋反対にしなきゃ」
捨てちゃおうと思ったけど売ってしまおう、百円でも売れりゃいい。
「それは悪いよ、こっちの部屋嫌なんだろ?」
「ベッドがあるんだ、それが嫌なの」
「そうか、それじゃさ、俺がいないときはこのベッド使えよ」
「それこそだよ」
「いいじゃん、そしたら隣の部屋好きに使ってもいいだろ?」
「それはいいけど」
テレビの前にあったラグ、捨てろと言われた。ペラペラの安そうなモノトーンを丸めた、ごみ?彼は何を出してくるのだろう、ちょっとワクワクしている自分がいた。
「あー、日に焼けたのかな、変色してる」
真っ白いふわふわシャギーのマット。
「本当だ、これだけ?」
「まさか」
と部長はにやりと笑うと、部屋に入り、手伝ってという。
そこから出したのはカウチソファー。
ビニルをはがしていくのが楽しい。
「めっちゃ可愛いー」
「だろ、だろ、これで隠せるかな?」
「隠れる、隠れる、いいじゃん」
休憩。お昼―、疲れた。それでもご飯を作って出してやった。
「はい、どうぞ」
「サンキュー、引っ越しって大変なんだな」
「まあね、単身赴任だと思えば楽かもね」
「そうだな」
キャピキャピした時間が過ぎていく、今日はお泊り、ファッションショー。
結局ベッドはそのまま、取り敢えず今使うものだけが並び始めた、男の子なのに今まで我慢してきたものが発散されたのか、はしゃぎすぎたのか、興奮したまるで子供。
朝目が覚めると嫌いだったダブルベッドの上二人抱き合って眠っていた。
時間があるし勝手にやってもいいのならやっておくというと喜んでいた。
明日からまた仕事だし。時計は午後三時、帰るという部長。
着替えると男性の恰好はいつもの部長だ。
「ここに住みたいな」
「住めるといいですね、私は歓迎しますよ、楽しいし」
兄弟は男ばかり、だから女の子の姉妹は憧れがあった。
「それほんと?まじに受けるよ」
でもご両親説得、大変なんじゃないですか?といったら、鼻息も荒く説得してみせるだって、いいのかね。
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