第五話

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「わかったわよ」 「やった―、あーあ、時間だー」 「もう少し、頑張れー」 「よっしゃー、頑張る!着替える!」 着て来たスーツをもう一度着てかれは実家へ帰っていった。 メールが来た。 いいものが手に入った、宅のみ、凛のとこでしたいなー? どうせ相手に会いたいだけだろうが、ちょっと話がある、それからじゃないと合わせないと連絡したら今日はどうだ?だって、早いけど、まあいいか、食事はいつもの居酒屋に集合ということで。 部長にライン 「行きたいなー」 おい、おい。 「着替えていく!」 ??でしょ? 「いいジャン、ちゃんと紹介してくれ」 しゃーない、よし行こう。 決まると超特急で仕事を終わらせダッシュで帰る部長の姿があったのだった。 「へー、いいね」 「でしょ、ちょっと奥まってるからね、知らないと入ってこないんだ」 座敷の奥の方へ座った、ちょうど物蔭で人目から見にくいんだ。 ふーん。 お待たせと二人がやってきた。 私の隣にはばっちりメークして、ロン毛のかつらをかぶりカチューシャをし、ふわっとした薄いピンクのワンピース姿の上司がいる。 「彼女?」 「うん、ちゃんと紹介するね、驚かないでね」 「ん?うん」  並んだ二人の顔を交互に見て、大きく息を吐いた。 「こちら、私の上司、佐伯久さん、女性じゃなくて男性です」 「男?嘘、なんでそんな格好」 「あの、この間のお店」 「あー、ごめん凛子、あとで聞いた」 「いいんだけど、その時助けてもらったんだ」 「よろしくお願いします、女装が好きなだけのおっさんです」 「いや、いや、イケメンだし」 「なんでまた」 「それは今度、こんなとこじゃ話ずらいし」 「まあ、よく来ましたね?」 「リンの親友だってお聞きしたのでお会いしたくて」 ぶりっ子に声も女みたいに吹き出しそう。 いらっしゃい。 店員さんが来た。 「ああ、注文は?」 「まだ、生でいいよね」 「うん、なんかおいしそうなものが並んでるね」 「おいしいよ」 「たのも、なま四つとゴマサバ二つ」 「私鳥刺し」 「ホルモンナベ、久ちゃんどうする?食べる?」 「うん」 「もつ鍋四人前、砂肝炒めひとつ」 「鳥刺し食べたいな?」 「鳥刺し追加、とりあえず」 お腹いっぱい食べて、飲んで、名刺交換して、部長にびっくり、35歳にびっくり、その若さの秘訣教わりたいとか言ってる親友たち。
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