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「くっ‥殺せ!」
「ククク。お前には今からその体で俺たちに奉仕して貰うぞ」
「破廉恥な!恥を知れ!」
「先ずは俺たちに料理を作ってくれ」
「な、何‥?」
「長引く戦に俺たちはもう疲れたんだ。明日死ぬかもしれない、ならせめて女の作った暖かい飯が悔いたい」
「くっコロ‥ケで、良いか?」
「ははは何だこれ。焦げてガリガリじゃないか」
「うるしゃい‥料理は初陣だったのだ。いっそこりょせぇ‥」
「懐かしいな。妹が初めて作ってくれたのもこんな感じだった」
「俺の嫁さんもだ。ずっと会ってねえ」
「母ちゃん元気かな‥」
「貴様ら‥よし決めたぞ!貴公達、私に投降しろ!」
「!?」
「私はこれでも辺境とはいえ領地を持っている。未だ開拓の手付かずな貧乏領地だ。だから共に田畑を広げ、羊を飼う若い力を求めている。貴公らのその腕、剣を振るうにはもったいないぞ!クワを持て、牧草を作れ。そして、貴公らの母君達は‥私に料理を教えてくれ」
「あ、あんた‥。いや、領主殿!!」
数十年後~
敵国の一部隊をその家族ごと亡命させた貧乏領主の開拓事業は順調に進み、豊かな土地へ変貌して行った。
噂を聞いた敵国の人や、豊かな土地を求めた移住者が集まり、やがて大きな町が出来上がった。
なお、名物料理はコロッケであったという。
おしまい
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