贅沢な幸福

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 昨日は夢見心地だった。  ライブ会場は今まで行った彼らのライブの中で、一番人が見に来ていたし、それに彼らの演奏は今までで一番のものだった。あのライブの高潮した雰囲気や、曲を盛り上げる合の手。あれは決してCDでは聞けないものだった。私も手を振った。必死に目に焼き付けた。スポットライトの下の三人は歴史の英雄みたく輝いていた。携帯のカメラでその雄姿をぱしゃっと何枚も写した。 ──ありがとう。  低い青年の声は私の心を奮い立たせた。 ──今までありがとう。  これは、彼らのラストライブだった。日常を淡々とこなしていく中で、幸せを湧き立たせた終焉。それでもそのライブを聞けたことは幸せで、贅沢で、他の言葉では言い表せないほどの恩恵だった。最後だからこその最高のライブ。その余韻を引きづる。それを感じ取る。嬉しくないわけなかった。にやけないわけなかった。あんまりに幸福で、透明な青空を連想させるぐらいの美しさで。
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