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巡回者はホルン達よりも一回り大きい男だった。記憶にある限り、同じ男だ。季節が巡り、湖が現れる頃にソリに乗ってやって来る。彼の仕事は毎回同じだ。ホルン達の小屋や設備を点検し、故障があれば直してくれた。 スイは巡回者に興味がないようで、いつも男とは顔を合せなかった。トウェイはまるでホルンやスイと話すのはつまらないというように巡回者と楽しそうに話していた。ホルンはスイが一人にならないように、スイとトウェイの中間地点にいるようにしていた。 湖が一番大きくなる頃、空土地の間に黒い点が現れた。巡回者が来たのだ。 彼の乗るソリは氷の上を滑らかに滑ってくる。朝に上る日の光が氷の上を走っていくように速く見えた。 小屋の外で、ホルンは黒い点が徐々に大きくなっていくのを見ていた。スイは早く起きたのか、もう姿はなかった。
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