解けない。

4/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
「これ、作ったから、無駄に、しないで。」 「おお!ありがとう!!恩に着る!!ってクマすごいぞ。どうした??」 「こんな顔で申し訳ないわね、ぜんぶあなたのせいなんだから。 さあ、そのマドンナとやらにさっさと仕込んできていいわよ?ほら早く。」 ぐっと彼の背中を押す。振り返らないように。私の顔を見せないように。 『そうしないと、私、今すぐにでも泣きながらその薬瓶わっちゃいそうなんですから』 「今日は、別に、使うんじゃないから、それよりもカリンのが心配だよ。 俺のためにこんなになってくれたんだから、なんか奢らせてくれよ」 「家系ラーメンニンニク背脂マシマシチャーシュー味玉メンマトッピング大盛り」 「おお、大丈夫かそれ?まあいいや、どんどん食えよな!!」 なんやかんやでやさしいから嫌いになれない。 もう、好きです。 ずっと前から好きです。 泣きながらラーメンの大盛りをすすり、追加の餃子、チャーハンも平らげた私は気持ちが落ち着きました。 ですが一つ、頭がぼうっとして体が火照って暑いのです。 本当に風邪でも引いてしまったんでしょうか? 「なあ、おい、大丈夫か??薬本物だったか?」 ああ、あれは本物以外の何物でもないです。 「え、今、なんて、言ったんですか、?」 彼は頬を赤らめながら、 照れくさそうに、 「俺さ、カリンのこと好きだってことに気づいたんだ。だけど、カリンは幼馴染としてしか見てないから一服盛ってやればと、って、おい大丈夫か?」 薬のせいでもありますが、 私の頭では整理しきれなく、湯気が出そうです。 羞恥、熱、様々な理由でクラクラしてきます。 脳がとろけてしまいそう。 「私、その、作った薬、惚れ薬じゃなくて、ちょっと体調崩す薬なんですけど、ああ、なんで、私って、」 薄れゆく意識の中で彼は私の名前を呼び続けます。 私が、魔法をかけた彼は、 私の成り代わった女の名前を呼び続けるのでした。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!