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「これ、作ったから、無駄に、しないで。」
「おお!ありがとう!!恩に着る!!ってクマすごいぞ。どうした??」
「こんな顔で申し訳ないわね、ぜんぶあなたのせいなんだから。
さあ、そのマドンナとやらにさっさと仕込んできていいわよ?ほら早く。」
ぐっと彼の背中を押す。振り返らないように。私の顔を見せないように。
『そうしないと、私、今すぐにでも泣きながらその薬瓶わっちゃいそうなんですから』
「今日は、別に、使うんじゃないから、それよりもカリンのが心配だよ。
俺のためにこんなになってくれたんだから、なんか奢らせてくれよ」
「家系ラーメンニンニク背脂マシマシチャーシュー味玉メンマトッピング大盛り」
「おお、大丈夫かそれ?まあいいや、どんどん食えよな!!」
なんやかんやでやさしいから嫌いになれない。
もう、好きです。
ずっと前から好きです。
泣きながらラーメンの大盛りをすすり、追加の餃子、チャーハンも平らげた私は気持ちが落ち着きました。
ですが一つ、頭がぼうっとして体が火照って暑いのです。
本当に風邪でも引いてしまったんでしょうか?
「なあ、おい、大丈夫か??薬本物だったか?」
ああ、あれは本物以外の何物でもないです。
「え、今、なんて、言ったんですか、?」
彼は頬を赤らめながら、
照れくさそうに、
「俺さ、カリンのこと好きだってことに気づいたんだ。だけど、カリンは幼馴染としてしか見てないから一服盛ってやればと、って、おい大丈夫か?」
薬のせいでもありますが、
私の頭では整理しきれなく、湯気が出そうです。
羞恥、熱、様々な理由でクラクラしてきます。
脳がとろけてしまいそう。
「私、その、作った薬、惚れ薬じゃなくて、ちょっと体調崩す薬なんですけど、ああ、なんで、私って、」
薄れゆく意識の中で彼は私の名前を呼び続けます。
私が、魔法をかけた彼は、
私の成り代わった女の名前を呼び続けるのでした。
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