美メンズ・イメージクラブ

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──やばい。こんなイケメンに近づかれたら、心臓が破裂しちゃうよ。  緊張が限界に達した岬は、瞼をきつく閉じた。 「なぁ。騒ぐなよ」  岬の強張った身体は、男によって後ろから強く抱きしめられた。 ──えっ。いきなり? 「声、出すなよ」  男の声が耳元で囁く。深みのある魅力的なその声に、岬はうっとりした。  頭の中で男の言葉を反芻していると、ふいにこめかみに冷たい感触を感じた。閉じた瞼を少しだけ開くと、そこには黒いピストルの銃口が見えた。 ──ミクが言ってた通りだ。  この店では、どんなストーリーに巻き込まれるのか、客は一切知らされない。そのドキドキがたまらないと、リピーターが急増しているそうだ。それにしても、こんなにリアルな人質のシチュエーションなんて!?  岬を羽交い締めにしたままの男は、声を落とし、誰かと話しはじめた。携帯で電話しているのだろう。 「女を人質に取った。例の物を用意するまで、店には近づくな。いいな?」  緊迫した状況が演出されたシチュエーションと男のあまい声に、岬の興奮も高まってきた。 ──やっぱりミーハーな性格してるって、ミクにツッコまれるだろうなぁ。
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