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飲み終えた缶コーヒーを茅野がゴミ箱に放り込む。
一泊遅れて左手の缶コーヒーをゴミ箱に入れようとして、躊躇った。
「重症だな、おい」
そんな俺を見て茅野が大口を開けて笑い出す。
「重症なんだよ、マジで」
そんな自分を笑い飛ばす事くらいしか出来なかった。
「なぁ、茅野、」
歩きだす茅野の背中を呼び止めた。
「何だよ」
答えを知りたかったからじゃない。
「俺は……バッドエンドが苦手なんだ」
「じゃあ、ハッピーエンドにしろよ」
能天気なお前なら、きっとそう言うと思ったからだ。
「きっと……無理だ」
「無理なら、来世がある」
「はは! 来世か。俺……来世はミジンコな気がする」
「間違いないな! なら俺はゾウリムシになってやるよ。お前が気にしてるやつも、きっとミドリムシとかになってるんだって」
きっと俺よりも、何倍も俺の事を知ってる茅野だから。
「繋がってるんだって、きっと俺らはさ」
そう言ってくれそうな気がしたんだ。
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