ニジュウイチグラム

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もともと人に執着しない方だと思ってる。 ほんとに、結構どうでもいいとか思ってる。 ただ穏便に、楽しく、生活が機能すればいい。 そんな程度の生き方で、だけど明日死ぬかもしれないから、出来るだけ後悔の無いように生きたい。 俺の望みなんて、そんなちっぽけなものだった。 なのに、 仕事中のふとした時間に、君の事を考えてる自分がいる。コーヒーが苦手な君が飲めるものを探してる自分がいる。君の好きな食べ物だったなって、ご飯を食べながら思う自分がいる。 頭の中を、君が占める割合が大きくなって、心の中は反比例するように虚しさが溢れる。 どうにもならないってわかってて、どうにかなればいいのに……なんて。 絵空事を思い浮かべては、破り捨ててゴミ箱に捨ててきた。 だけど、 笑った顔が見たい。声が聴きたい。泣いたら抱きしめたい。髪を撫でたい。手を握りたい。 頬に触れて、その首に、体に、唇に。 俺だけの所有印を刻みたい。 そんな事を考える自分が嫌で嫌で。 それなのに。こんなにまだ、欲してる。 君にもっと。近づきたいと思ってる。 きっと俺はどうかしてる。 だから気の迷いだって事にする。
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