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 あああん、どうしよう……。先生は女子高生みたいな狼狽の仕方をする。で、精神的に追い詰められたのか先生は、うつろな目をしてこう言った。 「犬にもまゆげはあったよな」 「ありませんよ!」 「あるんだよ。そういうことにするんだよ!」  横になっているクランケがイライラした感じで言う。「まだあ?」 「はいただいま!」  定食屋のおやじみたいな返事をすると、先生は僕を部屋の隅にひっぱりこんだ。 「庭にペスいたろ。ペスにまゆげ借りてきて」 「ペスって犬の? あなたのペットですよ?」 「いいから」  いいからじゃないだろう……、そう思うけれど免許もなにもないただのバイトの僕。従うしかない。庭にいる柴犬のペスに薬を打つ。ごめんなごめんな、人間の失敗の巻き添えになるだなんてな。そんなことを考えつつ薬を打ったせいか、ラベルをみてびっくりした。 「あっ」  間違えて人間の三倍打っていた。 やばいと思った。ちょっと打つだけでゲル状になるようなすごく効く薬だ。どうしよう……。やっぱりというか、当然というか、起こった現実は想像の斜め上だった。  ペスは汁になってしまった。  とんでもないことになってしまった。すまないペス……。そう思いながら、しょうがないから汁になったペスを手頃なぞうきんで吸い、どんぶり鉢に絞る。もうやけくそだ。 「先生、おまちどうさまでした」     
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