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「それは、防衛出動、ということかね?」
総理官邸。首相は疲れ切った顔を官房長官に向ける。
「いえ、有害鳥獣駆除、という扱いになります」官房長官が応える。その顔にも深くしわが刻まれていた。この男もこの二日間ほど、ほとんど眠っていなかった。
「しかし……相手は鳥でも獣でもないし、まだ有害と決まったわけでもないのだろう?」
「このままでは間違いなく住民に対して脅威になり得ます。既に村の中心部まであと数キロメートル、という位置まで近づいています。村民は全員避難させました。総理、ご決断を」
「……分かった」
まさか自分がこのような決断をする羽目になるとは。彼の脳裏には、かつて見た怪獣映画の一シーンが蘇っていた。
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