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とにかく「ナメラ」を早急に退治しなくてはならない。しかし、通常兵器がほとんど効かない、となれば、ABC(核・生物・化学)兵器を使わざるを得ないが、核兵器は最後の手段とするしかない。生物兵器もこれだけ大きな生物に即効的に対抗できるものが果たして存在するのか。存在したとしても、環境に対するリスクが大きすぎる。
もっとも妥当と考えられるのは、化学兵器だ。だが、これも環境リスクを考えると望ましい手段とは言えない。
しかし。
古来よりナメクジ退治には塩を用いるものだ。塩を振れば浸透圧の差により、体内の水分が溶け出してナメクジは干からび死に至る。もちろん「ナメラ」のスケールでそれをやったら塩害は凄まじいものになろうが、塩というのは地球上に極めてありふれた物質であり、いずれ海に流れていくものと考えればその他の化学物質を使うよりはリスクは低いだろう。
そこで、世界中から日本に塩の空輸が始まった。ほぼ全ての岩塩産出地から岩塩が集められ、「ナメラ」を退治できると考えられるほどの量の塩を用意できる目処が立った。後はそれを「ナメラ」に投下する手段を講じるだけだった。
ところが。
「ナメラ」の反応は意外に素早く、ヘリコプター程度の速度の物体でも粘液を直撃させることができるのだ。いわんや時速数十キロの速度しか出せない陸上兵器においておや、である。
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