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第03章 わっちは、もう人ではござりんせん
朱音は我が身に起こったことを想像した。
恐らくは、男に斬られたわっちは、禿達の通報により、この寺に土葬された。
あの子らは息災で、あの旦那は無事に死んだでありんしょうか?
生憎、わっちは、まだ来世には行けぬようで。
わっちは生きている……生きてないけど、動いてる。
早すぎる土葬で黄泉返る屍……異人さんからそんな話も聞いたような。
あれは、魔都上海の喪屍だったかしら?
それとも、海地の存魅といったかしらえ?
確か、人を襲い喰らい、襲われた者も……。
でも、わっちは人を襲いたい衝動に駆られていない。
ちっともお腹も空かないので、ござりんす。
はて、あの黒船は何でありんすか?
鳳凰蝶を墜とし、黒いものをまき散らし。
まさか、あの得体の知れぬ黒いもののせいで、わっちはこんな躯に?
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