第01章 死んで来世で結ばれよう

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絶望する朱音だったが、ある違和感に気が付いた。 暗闇とはいえ、暗すぎる。音すら聞こえない。 妓楼(ぎろう)の折檻部屋とは違うようだ。 幾ら瞬きをしても、この暗闇に目が慣れない。 足がおかしい方向に捻じ曲がっているが、痛みはない。 就寝時は、浴衣に伊達締めを着用しているはずだが、この風合いは薄い装束のみ。 両手で探ると、大きな樽のようなものに入れられていることが分かる。 死罪になるにしても、この仕打ちはあんまりではござりんせんか? 力任せに頭上の蓋をこじ開ける。 痛みの感覚がない分、力加減も底知らずになっている。 いや、この場合は天井知らずというべきか。 蓋の隙間から、茶褐色の土が降り注ぐ。 一層力を入れると、勢いよく蓋が飛び、丸い月が瞳に飛び込んできた。 視力は正常。 月夜に飛び跳ねる(あやかし)・『玉兎(ぎょくと)』や『(きゅう)』まではっきりと視える。 虫の声も投げ出された土が弾ける音も聞こえる。 捻じ曲がっていた足を、本来の向きに変えて、立ち上がる。 一見すると、平坦だが、土饅頭が目印のように点々と置かれていた。
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