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正直に言って、三十歳を過ぎた頃から僕は煮詰まっていた。仕事もプライベートも、何もかも上手く行かない。大抵の物事は、まるで嘲笑うかのように、僕の思いとは違う方向に向かって進んでゆく。そんな毎日に、僕はとっくに嫌気がさしていた。こんな日々から抜け出してしまいたいと、常々思ってしまう。
二十代の頃までは、それなりに順風満帆な人生を歩んできたと思う。地元の進学系高校を卒業後、地方の旧帝国大学に入学し、それなりの成績を修めて、一流企業に就職した。出世レースでも常にトップ集団に食い込んでいたし、それなりに上司からも目をかけられていた。そういう意味では、僕は一種のエリートだったのだろう。
プライベートに関して見てみても、順調という言葉以外は見当たらない。就職してすぐ付き合い始めた恋人は、芸能人並みとはいかないまでも、周囲からは羨ましがられる程の美人だった。おまけに性格も良かったし、結婚の約束まで交わしていた。
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